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2020/6/23   新型コロナウイルス感染不安に伴う 日本臨床動作学会会員へのお願い 日本臨床動作学会理事長 鶴光代

 

 新型コロナウイルス感染症についての緊急事態宣言が5月25日に解除され、6月19日からは都道府県をまたぐ移動の自粛が緩和されました。その一方で、引き続き感染拡大防止策を怠らないことが強調されています。

 

 このように新型コロナウイルス感染症に関する状況は変わってきていることから、常任理事会の検討を経て、4月19日にお願いした「臨床動作法を、基本的には実施しない」という方針を緩和することといたしました。つまり、感染危険を避ける対策を、充分に行ったうえでの臨床動作法実施をお願いいたします。

 

 国の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」 (令和2年5月25日変更版)では、具体的には、「三つの密」を徹底的に避ける、「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」をはじめとした基本的な感染対策の継続と、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の定着を重視しています。

 

 臨床動作法の実施では、近距離での声かけの援助と相手のからだに触れながらの援助に関わる感染危険の回避に努めなければなりません。そのためには「新しい援助様式」の工夫と開発が必要です。

援助の声かけは真正面を避けて対角線上や側面・背面的位置取りで行う、からだに触れての援助ではマスクとゴーグルないしフェイスシールドと手袋を着用するといった工夫が見受けられます。後者は、重装備のようにみえますが、実際に病院等で実施されており、来談者と援助者の双方にとっての安全な新しい援助様式の一つとなっています。

 

 臨床動作法の援助には、触れない動作法があります。新型コロナウイルス感染症対策として、比較的安心して実施できる援助様式として積極的に行っていきたいものです。この方法は、触れないだけに動作アセスメントと援助技法に独自の工夫が必要です。アセスメントの精度や援助効果を上げる技法に関しては、まだまだ研究・開発の余地がありますので、会員の皆様の実践を通した研究が期待されます。

 

 オンライン動作法は、新型コロナウイルス感染症対応として、安全性の高い援助様式といえます。本会は、先に、 「臨床動作法に関するオンライン研修会ガイドライン」を示して、オンラインによる研修会を推奨しているところです。このガイドラインはオンラインによる研修会の開催の仕方に関するものですが、このガイドラインに沿った研修会に参加することによって、オンラインによる動作法を研修することはできます。しかし、オンライン動作法の援助理論や援助技法は開発の途に着いたところですから、援助目標と動作課題の検討、動作体験援助の方法、有効に作用する体験様式等々について、試行・検証を通して構築していかねばなりません。そのためにも、会員が互いに、新しい援助様式であるオンライン動作法を検討し合う機会を持っていただきたいと思います。

   

 テレワークやオンライン会議、人と人との距離の確保などの「新しい生活様式」は、社会生活で受け入れられ実施されるようになってきています。臨床動作法実践においても、新型コロナウイルス感染防止に対応した新しい援助様式を生成し展開していけるようになりたいものです。会員の皆様の新しいご対応をお願い申し上げます。

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